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終わらせること
noteから有料記事などなどを移行しようかと。
地味に推敲入れてぽつぽつ更新していきます。

********

高3頃からシナリオを書くお手伝いをしている。

同人ゲームのシナリオだったり、推敲段階の手直しだったり、あるいは途中でシナリオライターが放り出してしまった作品の仕上げだったり。

別にお仕事として募集したことはなくて、ただ単に、そのころにお付き合いがあった同人作家さんが、ゲームを作るのでライターをやらないか、と話を持ちかけてくれたのがきっかけで、今でも継続的に書かせてもらってる。

なんにせよ、高校生の私に声をかけてくれたことがいろいろ奇跡だと思ってる、今も。
そこで3か月ほどで一本仕上げて、半年後には同人ゲームとして販売もされて、そこから、ぼろぼろ、継続こそしないけど他からも話が来る。

それもだいたい「ライターが逃げちゃったから、途中になったシナリオを仕上げてくれないか」というのが意外と多いw

……しっかりしてくれよ。

結構これ、あるみたいなんだよねぇ。
信じられない。

やりとりして詳しい話聞くと、イラストレーターも決まってて、声優もキャスティングできてて、プログラムも組む準備できてるのに、待てど暮らせど原稿は上がって来ず、締切過ぎても音沙汰なく、連絡しても返答なし……
なんというか……すごいな。何がとは言わんが。
自分の同人イベの新刊一本落とすのとは意味が違うでしょ。
少なくとも、自分以外が関わっているなら能う限り締め切りを守るべきだし。仕事じゃないけど、さ。

結構困り果てた状態で話が来る。そりゃ困るわ。
ただ、こういう場合、もう他の人が結構なところまで書いてるわけで、途中から引き継ぎとなると結構大変らしい。

まず、他人の手が入ったものを触りたがる人はあまりいない。
創作者の作風もあるし、そもそも自分の作品じゃないのは手出ししないし興味もない人も多いだろうし。
なんというか、人の子供に手出ししているような気持ちでもあるし。

それに、文体も違う。
なるたけ合わせないと違和感あるだろうし、とはいえ自分の書き方にこだわりあるだろうし。
嫌がるのもわかる気がする。
あと、一番アレなのが、途中まで書いてあるはいいけど企画者の手元にプロットがないから、逃げたライターがどういうオチを付けるつもりで書いていたのかわからないパターン。どう書けとw
これに関しては企画者も馬鹿だなぁ、と思うのですが。

まぁ、私はあんまりその辺のこだわりがないので、とりあえず「面白そう」だったら引き受けるのですが。ザ・適当。

そういうのみてると、たぶん、逃げたライターが勢いで書いてたんだろうなぁ、ってやつもあるし、結末まで見えてて書くのが面倒くさくなっちゃったんだろう、と思う作品もある。
ただ、どれも多くの人が関わってて、関わろうとしてて、このまま無くなるのを黙ってみてるのは惜しいなぁ、ってものがある。

こういう事案に出会うと、物語を作る、小説を書く才能で一番大切なのは「書ききること」と思う。

どんなにすごい文章が書けても、おもしろいプロットが書けても、完成させられないなら意味がない。途中じゃダメ。
投げ出しちゃ、だめだよ。

基本的に最低でも2ヶ月かかります、と言いながら、それでも、ということであれば引き受けたり。

R18でも、男性向けでも、女性向けでもなんでも。BLじゃなければ……
他人が途中まで書いたものを伏線拾いながら読み込んで、依頼者にフィードバックして、反応見つつ残り部分のプロット書いて送って、全部OK出てから書き始めるスタイルでやってるので、どうしても時間はかかる。
提示する期間が長くなるほど「本当に大丈夫なんですよね?」って聞かれる。
でも、一度逃げられて疑心暗鬼になってる相手に、信頼してほしい、とは言いたくないし、行動で示すしかないんだよね。
いやべつに私なにも悪い事してないんだけどね。

自分の体感でできる締切期間を伝えてその期間さえ待ってもらえれば、最終的にみんなで完成させることができたら、まぁ、それでいいし。
期間長めに取る分、締切は絶対守るようにしてるし、無理そうなら早めの段階で連絡入れる。
でも、こういう当たり前みたいなことができない人がいるから、こういう依頼もあるんだろう。逃げる人がいるんだろう。
      
ありがたいことに「もともとの文体に寄せて書いてくれたのでどうにかなります! というか、違和感ないです」とか「締切守っていただきありがとうございます」と礼を頂けることも多いので、まぁ、やってよかったかなぁ、と思いながら続けておりますが、それ褒め言葉じゃないし、と複雑な気持ちにもなりつつ。

わたしの文章が没個性ってことっすよね、締切守ってもらえない前提があったってことですよね! ケッ……
       
原稿読み込みの時間とか、プロット作成とか、誤字修正とか推敲とか、オチまで書くとか、考えてみれば原稿作成までに時間かかってて、お礼もらっても自給で考えるとアホなことになってるんだなぁ。
完成品もらえるから、まぁ、その体験に勝る価値はないんだけども。

終わること、完成すること、それがすごい事であること。

わたしは自分の作品をなかなか完成させられない人間なので、自分の作品をきちんと終わらせられる人のことを、心の底から尊敬している。

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【2016/07/27 10:54 】 | 雑記
色彩
気が付いたら色の洪水のなかにいた。

 おかしい。
 さきほどまで、確かに海の中にいたのに。

 友人と来た海水浴、浜に立つパラソルの群れ、目が覚めるほどの青い海、そして、空。
 永遠に続きそうなほど、楽しい時間。
 さっきまで手に取れるほど目の前にあった、幸福。

 それがなぜか無くなっていた。

 代わりに、身を焦がすほどの赤と、凍えるほどの白と、泣きたくなる黒と、悲しくなる青、緊張を強いる黄と、安心をもたらす緑が、私の眼前に海のように広がって、ひしめき合っている。

 例えるなら、絵の具を使った後の筆を雑多に筆洗いのバケツに突っ込んだような、まだら。

 逃げ出そうと思ってもソレは私の腰までを浸して離さない。生ぬるい水の感触が、肌を絡み付くように捕えている。
 浸かっていた腕を持ち上げてみると、ぬるりと赤と青と黄の水玉が肌を伝って流れ落ちていった。

 なんだろう、これは。

 どんなに首を捻っても心当たりがない。
 当たり前か。さっきまで海にいた筈なんだから。

「おーい」

 声を出す。
 何処にも反響せず、消える。

 薄々予想はしていたけれど、どうやらこの場所に果てはないらしい。
 そんな場所が本当にあるのかどうか、知らないけれど。

 上を見る。
 どこまでも真っ白で、すぐそこに天井があるようにも、果てがないようにも見える。

「おーい」

 やはり、答えはない。

 一歩進む。
 ざぷりざぷり、と波音が立つ。

 赤い水に浸かると、怒りに満ちた声が聞こえてきた。

「貴様は何色を選ぶ?」
「……え?」
「貴様は何色を選ぶ?」

 声が怖くて、隣り合った白に逃げ込む。

 凍えた震え声が、聞こえる。

「あなたは何色を選ぶの?」

 黒へ、逃げる。

 泣き声が聞こえる。

「何色を……選ぶの?」

 黄色へ。

 警戒に満ちた声が固く聞こえる。

「なぜ何も選ばない?」

 緑へ逃げ込む。

 優しい声が、聞こえる。

「あなたは選んでくれるの?」

 すがるようなその声が怖くて、やっぱり逃げる。

 逃げた先にあるのは、青。

「青を選んでくれるの?」

 少し悲しげな声は、それでも嬉しそうにそう言った。

 ……別に、選んだわけではない。
 たまたま最後に入った水が青かったというだけだ。

 ただ、脳裏にさっきまでいた海がよぎらなかったわけでもないけれど。

 青い声はかすかに笑って、

「じゃあ、今は、見逃してあげるよ」 

 と、沈んでいった。
 青い水は視界から消え、周りの色がその分支配域を広げる。

 あとには、身を焦がすほどの赤と、凍えるほどの白と、泣きたくなる黒と、緊張を強いる黄と、安心をもたらす緑が残った。
 からだを浸す水は、赤でもあり、白でもあり、黒でもあり、黄でもあり、緑でもある、なんだか禍々しい色彩。

 青だけが抜けた、鮮烈な色。

「青を選んだのか」
「何故青なの?」
「どうして青いの?」
「青か」
「そっか……青なんだね」

 口々にそれらは青への恨みつらみを語る。
 うらめしい、かなしい、うらやましい。
 その雑音は、やがて、頭上へと上がっていく。

 色彩の水は壁を形作った。
 高波のような、壁を。
 それは大きな影をつくって、私へと手を伸ばす。

「ゆるさない」

 色の洪水は、ざぷん、と私を頭から飲み込んだ。

 目を閉じる。

 ああ、これで不思議な夢も終わりなのか。
 そう思うと、不思議とあの色彩の世界を名残惜しく思えた。
     
     
 ぱちり、と目を開ける。

 遠く聞こえる歓声。
 肌を焼く日の光。
 はじける飛沫。
 青い青い、果てのない海。
 
 そして、悲鳴交じりの友人たちの呼び声。

『じゃあ、今は、見逃してあげるよ』

 笑ってそう言った青の声。
 それは、つまり。

 ――二度目は、逃さない。

 微睡のあとには、覚めるほど悲しい青い壁が目の前に迫っていた。


   
 ――了

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【2016/07/21 15:31 】 | 掌編 | 有り難いご意見(0)
付かず離れず
これでも結構間を空けずに書いているつもりだったのだけれど、今月はまだ1回しか更新していないみたい。

2つブログあるから仕方ないか。
向こうは1か月更新しないと広告が出るのもあり、優先順位は自然とあちらになる。

なんだかんだ日記だの文具レビューだのいろいろやってはいたものの、自分は小説の畑の人間なのだなぁ、と思うわけで。

大変悔しく認めたくないものだが、どうやら文章を書くのが好きらしい。
色々言い訳は付けてみたけど、離れられなかった。
離れたい気持ちはいつでもあるのに。

なんだかんだ、小説を書き始めて12年は経ったらしい。
はじめは中一だから、だいたいそれぐらい。
告死天のはなしから始まり、悪魔に傾倒し、今は中篇以上となれば必ず妖怪や鬼のほうに傾いてるから、どうも根本から何も変わっていない。

シナリオの依頼もたまにもらうけど、そこでも亜人とか近親相姦とか、禁忌に向かう話を書いているし、永遠に厨二病をやるんだお前は、と言われている気がする。
まじでか。
もうちょっと大人になりたい。

考えてみれば、友人とぎゃーぎゃー言いながら想像の話をしてて、そこから話を書き始めて、ひとりしか読者がいなかった(他の誰にも特に読ませたいとも思ってなかった)ところからだいぶ離れたなぁ、と思う。
随分と偏った読者像で、今もかの友人に向けて書いている。
彼が好きそうな話を。

今はもう、だいぶ前に事故で亡くなっているので望むべくもない話だが、これから書く話も読んでもらいたいものだ。
今度こそ、本にするからさ。

たぶん、いつも、いつまでも届かない人に書き続けるんだろう。
その分ひとかけらでも、この偏愛が友人ではない、他の人にも受け取ってもらえたら、嬉しい。

付かず離れず、偏ったまんま、気の向くままだ。
これで続けていく。
これでもいいかと、ようやく自分に言える。

もうこれでいいよ。

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【2016/07/20 10:54 】 | 雑記 | 有り難いご意見(0)
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