個人的に夏になるとあそびたくなるゲーム『A Short Hike』の紹介がどうしてもしたいので、物好きな方はお付き合いください。
(3,000字近いです……)
『A Short Hike』は、とっても素朴なRPGゲームです。
物語は、鳥の少女・クレアが住んでいる都会を離れ、親戚のおばさんのいる島に預けられるところから始まります。
クレアは携帯の電波も入らない島で物憂げな様子。
とある連絡を待っているようですが、そもそも電波がないんじゃどうにもなりません。
親戚のおばさんの勧めもあり、唯一電波が入るという島のてっぺんにある山・ホークピークに登ることになります。
ホークピークに登る、と一口に言ってもそこは山登り。当然準備が必要になります。
例えば、崖登りの技術が必要になったり。
崖登りのコツを掴むためにまずはロッククライミングの練習。
とある海岸線のふち、ロッククライミングの練習場で「そんなに簡単じゃねーんだよ」と斜に構えたクレアよりも少し幼そうな男の子と、「落ち着いてやれば大丈夫よ」と励ましてくれる面倒見が良さそうな女の子との出会いがあります。
この2人、ロッククライミングの練習を一緒にして一定以上のレベルに達すると「じゃあ、一緒にホークピークに登ってみましょうか」と、練習場から山の入口まで移動します。
チュートリアルの説明のNPCってだけじゃなく、クレアの道行きに少しばかり同行してくれることになります。
彼らはクレアと一緒にホークピークのてっぺんからの景色を観に行くことはできるのでしょうか。
あるいは、崖登りには「黄金の羽根」というアイテムが必要になるのですが、島を少し登って行くと「ホークピーク州立公園」という看板と山小屋のような建物に出会えます。
そこには管理人の男性が。
黄金の羽根は崖登りの距離をグッと後押ししてくれるらしく「ここでもお土産と一緒に売ってるよ!」と教えてくれます。
きっちり金は取る。これぞ資本主義社会ですね。
まぁでもね、ここに来た段階ではまだ羽根を買えるほどお金がないんですよね。
すごすご道を引き返すことになるわけです。
ところで、島を歩き回っていると地面に星型マークのようなモノがあるわけです。
ゲーマー諸君にはどういう意味か一発でわかりますね。
そう、掘るんですね。
じゃあ掘るのにスコップが必要だよね、ってんで、とある海岸線にでっかいスコップで砂のお城を作ってるカエルくんに「そのスコップ大きすぎない?」と交渉。
「小さいスコップ持ってきてくれたら交換するよ!」と交渉成立で、島の中をぐるぐる歩き回ってスコップを探します。
無事にスコップが見つかれば交換成立。
クレアも穴が掘れて嬉しい、カエルくんも砂のお城が作りやすくなって嬉しい。
素晴らしいですね。
ちょっと時間を空けてカエルくんに会いに行ってみましょう。
砂のお城がめっちゃ増えてまさに砂上の楼閣ってやつができています。
規模がでけぇ。作業めちゃくちゃ捗ってるね!
話しかけると「地方選が始まったんだ!」と嬉しそうに話してくれます……砂の城で?
その選挙結果はというと……是非ご自分で確かめてみてください(;´∀`)
ちなみにこの砂上の楼閣、もう一段階進化します。
とんでもねぇオチが待っているのでこちらも宜しく。ぼかして言うと、独裁国家になります。詳細はご自分でどうぞ……。
さて、穴も掘れるようになってお金が手に入り……何故か穴掘るとお金が吹き出てくるんですけど……どうにかこうにか州立公園で黄金の羽根をゲットです。
まだ完全な高所まで行けるわけではないですが、ちょっと高いところまで行けるようになります。やったね。
おや、州立公園の端で……アライグマかな、絵を描いてる方がいますね。
話しかけてみましょうか。
彼はもうすぐあるというコンペに向けてホークピークで絵を描いているそう。
思い悩んだ様子の彼は、どうも自分の描くものに納得がいっていない様子。
島のいろんなところで絵を描く姿に出会えます。
高台、海岸が見える場所、雨降る墓場の近く……
クレアには分からない絵も、素直に素敵だと思える絵も、何もかもすべてが彼には上手くいっていない様子。
それもそのはず、出展予定のコンペは憧れの芸術家に招待されたもので、そんな相手に半端なものは見せたくない、という心理に囚われてしまっているのです。
何枚もの絵を描いた果て、彼がどこで描いた絵を選ぶのか、どういう気持ちで選ぶのか。
自分の本当に描きたいものを考え、悩み抜いた絵描きが最後に辿り着く答えを是非ともご覧いただきたいです。
ともあれ、そんな悩める人がいる一方、島でのんびり趣味に没頭している人もいます。
もうこのロケーションだけで最高でしょ。
そう、釣りです。
いわゆる収集要素なんですが、実は島の何処かにお魚を集めている人が居て「釣り日誌」がもらえるのですがこれがなかなか面白いです。
島の至る所に水場があるので、見かけたら釣りをしてみてください。レア魚もいます。
さて、いい加減ホークピークに登っていきましょうか……
あっ、あんなところに宝箱が!
せっかく登ったけど飛んで取りに行こうじゃないか(๑•̀ㅂ•́)و✧
そう、このゲーム登るだけじゃなくて高所から飛び立つこともできます。
黄金の羽根は崖登りだけではなく、この飛距離を伸ばすこともできます。
いっぱい欲しいね……
あと、飛んでる感じが実に良いのですよ、このゲーム。
そんじゃだいぶ下っちゃったしもう一回登るか……
おや、ホークピークの入口の絶壁の前で誰かが座り込みをしているぞ……
こ、こいつ高値で黄金の羽根を売りつけようとしてくるΣ(´□`;)
……察しの良い方ならお気づきかと思いますが、このゲームは理由もなくぼったくりをふっかけてくるキャラクターなど出しません。
なかなかの金額ですが、島を駆け回ってかき集めたお金で黄金の羽根を買い取ってやると「なんでこんなことしてるの?」とその理由を尋ねる事ができます。
彼にも彼なりの理由があるのです。感じ悪いけど(笑)
そうやって数々の出会いの果て、クレアはホークピーク登頂を目指します。
彼女がそこまでしてどうして携帯の電波が入る場所を求めたのか、彼女がこの島に預けられた理由は登頂した先にあります。
住人たちの生き方を見届けたあとは、クレアの理由も見届けてあげてください。
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言ってしまえば山を登るだけのゲームなんですが、住人たちとの掛け合いが味わい深く、メインのクレアの物語以外もとても良い作品です。
他にも、島のなかでは、パルクールの選手が高所トレーニングに勤しんでいたり(何故か勝負を挑まれる。当たり前だけど勝つのは結構難しい)、スティックを使う謎のビーチバレーで遊ぼうと話しかけられたり(コート上に船で乗り込んでみよう!怒られるぞ!)、ボート屋を営むお家のお子さんが「退屈ー!お船に乗りたい!」と騒ぐのでボートに乗せてあげたり(ボートで飛ぶ。空を飛びます)、本当にたくさんの出会いがあります。
この、住人たちが「そこで生きている」感がこのゲームの良いところだな、と思います。
ゲームの遊び方を教えてくれる案内役じゃなくて、クレアに「一緒に遊ぼうよ(生きようよ)」と話してくれる。
あと、このゲームの良いところとして、個人的にはこのドット感のある絵が大好きなんですが、好みによって解像度を3段階ほど変えられます。
一番ドットが細かいやつにすればヌルヌル動くので、近年見慣れた感じのプレイ感になるかと思います。
でもドット感も捨てがたくて……悩む……
Steamでもニンテンドースイッチでも1,000円しないで遊べますので、まだ触れたことがない方で少しでも興味ありましたら是非ー!
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