思い付いても忘れちゃうからメモをするわけですが、創作ネタについては一晩おいて、それでも忘れられなかったらメモをする、ということをしている。
もちろんすぐメモをとることもあるけれど。
一晩寝かせるのが長編用ネタ、すぐ書き留めるのが短編用ネタ。
中学のときに友人を一人事故でなくしてから、随分と小説にのめり込んだ時期がある。
漫画では世界を俯瞰しているだけで入り込むことができなかったから、だから小説だった。
震えるほどの喜びも、身を裂くような悲しみも、文字の中の感情に追憶するように心が震えるから。
大学1年ぐらいまで、小説のなかで人が死ぬシーンを書けなくて(ストーリー開始時点で亡くなってるとかはあったけど)、それはたぶん友人のことと関係があったような気がする。
今はもう、大丈夫だけど。
彼が亡くなって来年で10年になる。
思うのは「生きていくことは忘れていく」ということ。
もう命日にも同級生は全然集まらない。
3人ほどだったか。
去年はもう少しいた。仕事始まったばかりだろうに。
そりゃ2年目ともなれば仕事も忙しいだろうし、10年近くたてば細かい日付は思いだせないかもしれないし、過ぎた後に「ああ、あの日は……」と思ったかもしれない。
季節が夏だったことは、分かるだろうけど。
皆忘れて日常に帰っていくものだよなぁ、とぼんやり思う。
別に良いと思う。
その日じゃなくても、たまにでも、数年後しにでも思い出が浮かび上がる時があったら、その時に悼めばいい。
毎年、そこに足を取られるには、年月が経ったし、環境が変わりすぎた。
なにをどうしたって、人は忘れていく。
なら、もういいかな、って思って、最近は泡のようなネタも書き留めて使うようになった。
何を書いても、結局すべては忘れられていくもので、そこにあった感情も消えていくものなら、囚われていることは、制限をかけることは無意味だと。
ただ、一瞬でいいから、心揺れるもので在ればいい。
読んだあとは、すぐ忘れちゃうような。
*****
4ヶ月ほど前だったか。
某SNSに小説を連載している人がずっと「コメントが欲しい」と繰り返し投稿していた。
そのかたは継続的にその小説の投稿をしていて、その作中のキャラクターもご自分で気合いいれて描いてアップしているような、本当に自作に愛を持っている人で、影ながら応援している人だった。
好きなタイプの作品であったか、と言われるとそうでもない。
けど、作品への向き合いかた、というか、スタンス、には非常に好感が持てて、羨ましさもある反面、ぜひ頑張って更新していってほしいと思っていた。
とはいえ私の側も、ストーリーとしては序章で、少なくとも各キャラのキャラクター性も読者側にはまだ情報がなにもない状況で、正直なところコメントするにもまだストーリーが進んでおらず、静観する状況が続いていた。
その合間に投稿される絵。
そして「遠慮なくコメントください」の言葉。
絵には多くの評価がついていたけど小説になるとガクンとその数は減って、そのうちの何名が本当に小説を読んでいただろう、と少し疑問に思うことがあった。
それはともかく。
小説には依然としてコメントがつくことはなく、絵だけは評価されコメントもつき、
「本当に遠慮なく、どんどんコメントください」ということが続いた。
その方自身は脳内にすべての物語があって、キャラクター性が把握できてて「このキャラのこういうところが良いでしょ!」ということが出来ていたのだと思う。
ただ、いかんせん、読者との温度差がありすぎた。
2ヶ月ほどその一人相撲が続き「このままでは……」と思う投稿の言葉が見えてきた。
コメントを求める言葉にも、疲れてしまっているのが見えてきていたのだ。
こうなっても、小説にコメントがつくことはなく、コメントを求める投稿にもコメントがつくことはなかった。
普通に考えて「こんなこと言われたくはないだろう」と正直なところ思った。
でも、多分言わなきゃ止まれないんだろうし、言葉は選んで、
「正直、あなたと読者の側には温度差がある。それは作品への知識の差だ。あなたにあるキャラへの愛は、こちらの読んでいる範囲ではまだ出てきていない側面を愛するものであり、共感が呼べないうちはこちら側もコメントを書くのが難しい。読むほうにもペースがあり、最新話まで追い付いていないこともあるだろう。どうか焦らずに続けてほしい。更新を楽しみにしている。話が一旦落ち着いたら是非コメントを書かせてほしい」
という旨のコメントをつけた。
わりと普通にひとでなしのコメントである。
ただ、あちらも「そうですよね……うすうす気づいてはいました」という旨の返信があり、これで少しは落ち着くかな、と思っていたところ。
その数時間後、その方は「認められたかった……」と、自身の壮絶な過去を打ち明けて、これまで無理をして明るく振る舞っていたことを告げ、今後は自然体で投稿を続けていく、という投稿をした。
地雷踏んだんだな、と悟った。
ただ、地雷を踏んだ私になにかを言う資格は無いだろう、とその投稿に数多くついた応援のコメントを読んで、これだけの人が優しい言葉を掛けていれば大丈夫だろう、と「ぶしつけなことを言って悲しいことを思い出させてしまったのなら申し訳なかった。どうぞ無理せず今後も投稿を」と短いメッセージだけ送った。
返答はないので、読んだかどうかはわからない。ただ、メンタルがあまり強い方ではないから、私の名前のメッセージなんか読まないかもしれない、とはなんとなく思う。
そういう自衛も生きていくために大事だとおもうから、良いのだけれど。
それから、私に嫌がらせのメールが届くようになった。
依頼募集用に某所で公開しているアドレスで、1日一回が2ヶ月ほど、3日に1回ほどが現在も尚、続いている。
要約すると、
「あんな優しい子を傷付けたお前に小説を書く資格はない」
「某SNSの垢もサイトも消せ」
「お前の書く小説は~~~というところが面白くない。公開する価値はない。コメントもつかない。消せ」
「まだ垢消さないのか。恥知らず」
「あの子が苦しい思いしたのはお前のせいなのにまだ謝罪しないのか」
「あの人たちに構ってもらえて嬉しいか? ひとりで楽しそうにしやがって」
等々……
某SNSはスタート地点だから仕方ないとして、そこからは繋げていないTwitterとサイトまで律儀にのぞいている辺り、なかなかマメな人物である。
そんなにあの方のことがお好きなら、あなたがコメントしてあげれば良かったのに。
それだけで救われていたかもしれないのに。
静観し続けてきたこと、それはそちらも同じでしょう……?
この人が誰なのかは分からない。
こちらの悪口を言うばかりで自分の情報を出さない辺り、うまいことやるな、という感じで。
図らずもわたしは作品にコメントをつけるまえにあちらへのフォローを外さざるをえなくなり、SNSにも戻れないので続きを読んだところで評価も感想も付けようが無くなった。
それだけは、本当に申し訳ないと思っている。
コメントすると言ったのに、この状態じゃできない。
いまなお、私がサイトへ戻って小説を書き続けていることを向こうは許しはしないんだろう。
まだしばらくメールは続くのだろうな。
その点に関しては、鬱陶しいと思いつつ、一周回って感動しているところである。
この人もさっさと忘れてくれればいいのに。
[1回]
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