下駄箱に手紙。
いまどきそんな古典的な手を使うものがいるのか、と思っていたが、どうやら本当にいたらしい。 少年は名前のない可愛らしい手紙を眺めながら体育館裏へと足を運んでいた。 なるほど、古典的な呼び出し場所ではあるが人気はなく、そういうことをするには最適に思えた。 用件が少年の思い違いでなければ、だが。 そこによく見知った少女が緊張した面持ちで現れた。 思わず笑みがこぼれる。 こちらに気づかぬ彼女に、よう、と声をかけようとして、はた、と気づいた。 彼女の前にやってきたのは、またも少年のよく知る者。 真っ赤な顔をした彼女が何を言っているのかも、いつのまにか目の前にやってきた少女が何を言っているのかも、今の彼には何一つ聞こえていなかった。 (313文字) PR |
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