忍者ブログ
  • 2024.11«
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • 31
  • » 2025.01
夏の夜の悪夢
 鮮やかな声で、女が嗤う。

「ねぇ、久しぶり。まだ生きてるの?」

 その声は嬲るような響きを持っていて、それでいて子供のような無邪気さを合わせもつ透明な声だった。
 彼女はずっと、そうだった。
 ずっとこうやって嗤って、俺たちを揺らす。

「ねぇ、今カノジョとかいるの?」

 いないよ。

「ならさ、私とかどう?」

 冗談はやめてくれ。

「嘘じゃないよー? 本気なんだけどなぁ」
 
 そんなこと言って、今までの男たちのように俺のことも捨てるつもりなんだろう?

「えー、わたしそんなキャラ?」

 キャラとかじゃなく、本当のことだろう?

「みんなが私を捨てたんだってぇ。私来るもの拒まず去る者追わず、だし?」

 ……去る者、ねぇ。お前が関わった男たち、皆死んでるのにか?

「…………」

「貴方のこと、本当に好きだったよ……さよなら」
 
 電話越しの声が遠い。
 掠れていく吐息。
 静かになる通話口。
 
 全て悪い夢だと思いたかった。

拍手[0回]

PR
【2013/06/20 00:16 】 | 掌編 | 有り難いご意見(0)
<<幸せは知らないままで | ホーム | 夜色夜伽>>
有り難いご意見
貴重なご意見の投稿















前ページ | ホーム | 次ページ

忍者ブログ [PR]