GWが4日しかなかった謎の事務職、有里です。
明日でGW終わりだよ……どこも行ってないよ……先週土曜にライブ行ったわ。
改めまして、遅くなりましたが色季彩シリーズ最終作『好きは言えない』の配信が終了致しました。
……あ、はい。配信開始したのは2月のことなので大分時間が経ちましたね……いやぁ、時間の流れは早いデスネー。
2月に配信したのでもう2ヶ月以上経ってしまったのですね。時間の流れが早すぎる。
少々仕事でバタバタしていたのでご挨拶が遅れましたが、ようやく1年に渡る色彩の物語が終わりました。
『好きは言えない』は時期に合わせてバレンタインのお話で、冬が最後になるために「絶対明るく終わらせようー」というのだけは春の時点で誓っていました。
なので、わりとはやめにプロットだけは切っていた話になります。
夏かな。夏のお話と同時平行で進めてて、片方はビターテイストに、片方はハッピーエンドに、って頭を切り替えつつ作業してたような。
固い意思で突き進まないとハッピーエンドにならないってのも問題アリな気がしますね!
そんなわけで、夏から頭をバレンタインにした掌編だったのでした。
少年をメインに据えたシリーズとして展開をしていたわけですが、考えてみれば「男しかいない」ストーリーはひとつもなかったなぁ、という感じです。
春はひねくれ少年とひねくれ少女の小噺、夏は快活な少年と気が弱い少年、その間で優雅にふるまう少女との3人の関係性の断片、秋は偽りの狐の少年と偽りの母のお話、冬は少年のような少女と気が弱い少年のお話。
結構どれも「相手と対等に向き合いたい」側面があったような、と改めて見返すと思いますね。
性別が違ったり、っていうのもあるけど、顔見知り程度でしかなかったから相手との距離を図りかねたり、はたまた同い年で親友で仲間だけど本音では語れなかったり、偽りの関係性のなかで背伸びをして届かない憧れに追い付きたかったり、いつもその関係に依存していたから少し前に進もうとしていたり。
色、というところもテーマとしてあったんですが、四季の流れと少年たちの持つ関係性ってところが前に出た、というところが強かったですね。
本当は前シリーズの「一色綴」っぽく、もっと色を前に出して行くつもりでスタートを切っていましたし、春、夏ぐらいまではその方向で行くつもりだったんです。
でも、やっていくうちに秋は「少年は黒だけど、母親は赤のイメージあるし、題材的に赤を差し色にしたら黒ももっと映えるよなー」って言うのがあって、表紙に「差し色で赤を」とお願いしましたし、冬も「少年が水色、少女は薄紅のイメージだなー」とピンクをいれてもらいました。
実は春の少女も薄紅のイメージなんですが、そういうところでも一周してるな、って感じです。
冬は「薄紅色を差し色に」とお願いして、まるさんから頬にも薄紅が入って甘酸っぱいイメージが増したのがホント最高でしたね……
その使われ方は想像してなかった……!
制服にも色味が乗ってて、使われている色自体は冷たいイメージの色なのに寒々しい表紙ではない完成形。
最後までどうにか走りきれてよかったな、と思いました。
冬は表紙2案を結構本気で悩んだんですよね。
採用したのは左ですが、右のやつも非常に小説らしい表紙でめちゃくちゃ悩んだ。
右は文芸っぽい印象があって非常に捨てがたかったんですよね。
でも、左のね! あんな満面の笑みを見るとね! あっちになるよね!
まるさんはあまりオリジナル作品を描かれない方ですし、女の子もあまり描かれない方なので、普段描かれているものとの方向性のミスマッチもあって今回の折本作業は非常に迷惑をおかけしたかと思うんですが、本当にどれも内容を上手く汲んで頂いた素敵な表紙になったと思っております。
結構ギリギリまで「夏の表紙が最高すぎる……最高……」って思ってたんですが、「やっぱ冬だわ」と半年の想いをあっさり鞍替えするぐらい冬の表紙はお気に入りです。
折本は表紙まで込みでひとつの作品として成り立つので、外注すると自分の意図したところでない要素が入ってくるのが一部リスクではあります。
けれど、そういう刺激がないと今回みたいに「差し色増やしてもらおうかな」という発想とか「ここでそうくるかー!」という一本取られた感は一人じゃ味わえないんだよな、と、本当にそう思いますね。
もともと創作活動って制作中は孤独なこと多いし、完成しても反応ないとやっぱり孤独だし、新しい人に広げたいと思っても見てもらうのに目を引く”顔”がないとやっぱり小説は難しいかな、とも思うので、またこういうのはやりたいですね。
実際、装画を自分で用意しなくていい、ってだけで大分気が楽なんですよね。
表紙のために、フリー素材を準備して、タイトルどこにいれるかー、とか、サイズ合わせて、とか、そもそもグラフィック面は詳しくないからつくることにめちゃくちゃ手間取るんですよね。
それを「はー、書き終わったー!」って本文書き終わったテンションで次に慣れない作業残ってると、疲れてるときはホント無理なんですよ……
とりあえず案は出しててプロットもほぼ立ってるのが何本か手付かずで残ってるので、書いてあらためて表紙のかたは探そうと思います。
ちょっと仕事の関係でシリーズ系はしばらく難しそうなので、単発をこの半年で2本ぐらいやれたらなー、という見通し。
表紙のかたは絶賛募集中なので是非ともお声掛けください(笑)
描かれる方の画風と合う作品でやりたいですねー。
うん、令和もやっていきたい(p`・ω・´q) 折り本つくる(p`・ω・´q)
多分、自分で自分追い詰めないと新しいの作れなさそうなので頑張ります(笑)
平成の間に2つもシリーズを作れて……3つか! 140字も一応五十音でやってたし、あれがあったから表紙を他の人に頼もう、って発想が生まれたのであれもですね。忘れてやるな。
とはいえ、『一色綴』も『色季彩』もsioさんとまるさんという恵まれた表紙担当の方のおかげで自分自身も最高に楽しんで作れました。
やっぱり自分にとって大切なシリーズになったなぁ、と思います。
一応1本は継続して動かしている折本もありますし、次も準備しようと思っておりますので今後ともどうぞよろしくお願い致します。
以下、冬掌編の小噺。あるいは誰も知らない、後日談。
*****
2月も下旬のある日のこと。
少年が帰路に着くべく下駄箱を開けると、そこには心当たりがまったくない箱が鎮座していた。
そっけない黒い正方形の箱。そこに乱雑に巻かれた……一応リボン結びをしようとして失敗したのだろうか? ピンクの細いラッピングリボンが箱を封じている。
ラッピング、というよりはぐるぐる巻きになっているし、まさに封じている、という風格だ。
開けていい代物なのだろうか。いっそ不安にすらなる。
とりあえずそこにあると靴が取れないので、箱はポンと鞄に放り込むとして。
少年はかかとをひとつふたつ鳴らして靴を慣らすとひとまず学校を出ることにした。
少し家の方に進むと公園があるので、ベンチに座って箱を開けてみることにした。
箱の中身が発火物とかだった場合、家が燃える。いや、公園でなら発火してもいい、ってことではないんだけども。砂地だったら燃え広がらないし。一応消火器とか設置してあるし。いや別に危険物を贈られるようなことはしてませんし。多分。
と、色々心のなかで言い訳をしながら、腕を極限まで伸ばして顔から離した場所でぐるぐるとリボンを剥ぎ取る。
”彼女”はそれを小一時間かけて苦労して巻いたのだけれど、少年には知るよしもない。
思ったより素直に解けたリボンを乱雑に鞄に突っ込み、おそるおそる、顔から離れた位置で蓋を開ける。
冬も終わりが近い、しかし非常に寒い曇りの夕暮れの時間帯には人がいない。爆発したら死ぬなー、と若干のんきに、けれど物騒なことを考えつつ彼は黒い箱の中身を薄目で覗く。
……ふむ、とりあえず爆発も発火もしない。
腕を体に引き寄せて箱はベンチにそっと置く。
そして、恐る恐る覗きこんだ箱のなかには、箱と同じく黒い物体が4つほど鎮座していた。
「……チョコ? かな」
なんで今チョコ? とは思ったが、とりあえず危険物ではなさそうなことに心から安堵する。
「あれ、なにかささってる」
白い紙が見えて、おそるおそる、引っ張り出してみる。
「……なんだろう。なにか書いてあることはわかるけど、なにが書いてあるかさっぱりわからない」
”彼女”はそれを半日かけて苦労して「いつもありがとう」をネットで翻訳にかけてアラビア語に変換し、画面を見ながら必死になってメッセージカードに書いたのだけれど、少年には知るよしもない。
というか、わかるわけもない。
「うーん、なんだろうなぁ。わかんないけど。まぁ、いいか」
よくない。
「あーん」
いまいち警戒心があるんだか、ないんだか。
少年は見るからに怪しいチョコをためらいもなく口に運ぶ。
「苦い……」
黒い箱にふさわしく中身はダークチョコだった。
甘いものがあまり得意ではない少年にとってはダークチョコはありがたい。
が、さすがにちょっと苦い。
「……これチョコ……だよな?」
”彼女”はそれを数日かけて苦労して甘くないチョコを探し、カカオの含有が多いチョコレートをわざわざ用意したのだけれど、少年には知るよしもない。
多分ふつうのダークチョコレートでよかった。少年は甘党ではないだけで、苦いものが好きというわけではない。
「誰だろうなぁ。間違っていれちゃったのかな。まぁ、もう食べちゃったんだけどね」
苦い苦いといいながらふたつみっつと口にしていく。
下駄箱にチョコレート。日付さえ違っていなければとてもベターな手段であるそれ。
その単純さが愛しい”彼女”のものだとは気付かない。
首を捻りながら口に含んだ苦味は、彼女の気持ちとは裏腹に素直にほどけていった。
ーー了
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