金切り声が暗い室内に響く。
「やめてくれ!」 「ふふふ……貴方が悪いのよ?」 女は美しい笑みを浮かべ、男に詰め寄った。 そして、掲げるように鉈を捧げる。 その瞳はただ優しく、慈母のように、それでも悪魔のように笑っている。 「私は貴方に全て捧げたわ。全てを、よ。 なのに貴方は私に何もくれない。優しさも、口づけも、操も、何もくれないの。 わたしは私はわたしは私は私はワタシはワタシはワタシハ……」 狂ったように哄笑をあげる彼女に、男はひきつった笑みを浮かべた。 「お前、おかしいよ」 彼のその怯えきった低いつぶやきに、彼女は笑う。 艶やかに笑って見せる。 「貴方のために狂えないぐらいなら、死んだ方がましよ」 PR |
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