先週末に完結した連作掌編『花一華』の裏話。
さほど作品の内容自体には触れないので、あとがきではなくあくまでも裏話です。 どうぞあしからず。 ・タイトルと構成のはなし 『花一華(はないちげ)』というのは、アネモネの花の和名となります。 アネモネの花言葉は、 『はかない恋』 『恋の苦しみ』 『見捨てられた』 『見放された』 『薄れゆく希望』 『嫉妬のための無実の犠牲』 あ、もちろん明るい花言葉もありますよ。 『純粋無垢』 『無邪気』 『辛抱』 『待望』 とくに『嫉妬のための無実の犠牲』というパワーワードなのですが、こちらはギリシャ神話の逸話からきております。 美の女神・アフロディーテが戦の神・アレスという恋人がいたにも関わらず、キューピッドの恋の矢によって美少年アドニスに恋をしてしまいます。 それに嫉妬をしたアレスは猪に姿を変え狩りをしていたアドニスに襲い掛かります。 アドニスはあっけなく命を落とし、そのとき流れた血からアネモネの花が生まれた、という話があるんです。 血から生まれた話もあれば、アドニスの死を嘆き悲しんだアフロディーテの涙から生まれた、という話もありますが。 ここを起点にプロットを組んで、あの話はできています。 アフロディーテはもちろん『花一華』主題の彼女”たち”のことです。 第1話<評>は「多くの人が思っているアフロディーテ(いちか)」。 第2話<恋>は「恋人アレスから見たアフロディーテ(いちか)」。 第3話<隣>は「アドニスから見たアフロディーテ(華)」。 第4話<戯>は「キューピッドから見たアフロディーテ(いちか)」。 第5話<真>は「アフロディーテ(華)から見たアフロディーテ(いちか)」。 めんどくさいですね。 アフロディーテだらけですね。 ただ、神話を下敷きにしても結局配役が現代の若者たちなので有り難いことに話自体はまったく重苦しくなくなり、非常にライトな恋愛劇となりました。 ・花と華のはなし 今作のふたりのアフロディーテ、「花いちか(はな・いちか)」と「佐藤華(さとう・はな)」ですが、名前と苗字の読みを同じにしてひっかける意図もなくもないですが、いつもふたり一緒にいることによる視線の動きでミスリードを誘う話の組立なので、名前が生きてきたのは最終話だけだったなぁ、と思ってます。残念。 タイトルはこのふたりのことでもありました。 ・男たちのはなし 3角関係どころか4角関係になりそうだったやつらでしたが、基本的にいろんな人の勘違いと、誰が誰を大事に思っているかで想像がすれ違った結果なので、野郎どもは幸せでしたね。 何気に友人Aが、弟が名高き高嶺の花に惚れていたわけではないと知ると、なんというかいろんな意味でほっとするのかもしれません。 友人とその彼女と弟の3角関係とかね。いやだよね。気を遣うわ。 まぁ、弟が連れてきた彼女見ても、それはそれで何か思うところがありそうですけどね。 一番無関係なのに、一番あとになって気遣いをせねばならない立場になりそうなキューピッドでした。 出番ないけどこいつも多分いいやつです。多分。 というわけで、1か月に渡っての連載だった『花一華』の裏話でした。 連載モノはどれぐらいの期間をあけたらいいものか迷いますね…… PR |
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